(一人目の犯行)
その呼びかけに一体何人の生徒がどんな反応をするのか・・・後は結果を待つだけだった。
池袋のカラオケボックスで事件が起こったのは、その7日後であった。
ゴールデンウイークの5月3日の午後4時半頃、中学3年生の男子5人組が池袋駅前にあるカラオケボックスに現れた。
ニコやかな表情で5人の一人が「いつもの部屋をよろしく」と言って申し込みをした。
伝票をもらい3階の一室に消えていく5人はどこにでもいる普通の中学生の様に見えた。しかし、事件の後、その時の様子を回顧して「一見仲の良い友達グループの様に見えたが5人には明らかに上下関係が存在したように見えた。いつも会計は、一番小柄な生徒が払っていた」と受付の時に対応した店員は答えた。
5人の中で一番小さい少年・・それが今回の事件の犯人である。
5人は、部屋に入ると自由気ままに飲み物と食べ物を注文した。注文されたモノがすべて運ばれて20分ほどした時だった。
ドアの一番近くに座っていた犯人のA少年がその日に持参してきたショルダーバックから水の入ったペットボトルを2本取り出した。
他の四人は、こいつ何で水なんか持参して来たんだ?といった怪訝そうな顔をしながら互いに顔を見合わせた。
A少年は「美味しかった?」と4人に話しかけ答えを待たずに「それがこの世で食べる最後の食事になるんだから・・」と続けた。
「お前一体なに言ってるんだ?」
4人の中のリーダー的存在のBがそう訊き返したがAは今までに見た事のない不敵な薄笑いを浮かべながらポケットティッシュを一枚取り出すと丸めだした。
「シカトしてんじゃねえよ!」
というBの言葉にもAは全く動じずにペットボトルのキャップを外して丸めたティッシュにペットボトルに入っている水を染み込ませてテーブルの上に置くと胸のポケットから出した100円ライターで火をつけた。
全員がギョッとする程の勢いでティッシュは一瞬で燃え尽きた。
火をつけたA自身ですらその勢いには一瞬たじろぐ程の勢いだったが次の瞬間Aの表情は満足感に満ち溢れた表情に変わっていた。
Aは、固まって動けない4人にペットボトルの液体を振りまいた。
部屋の中にある場所で嗅いだ事のある匂いが広がった。
4人の少年の顔が歪んだ・・・
「ガッ・・ガソリンだ!」
という誰が発したか分からない声を境に4人の声は悲鳴に変わった。
4人の一人がAに飛びかかろうとしたが、Aの左手に今まさに火をつけようとしているライターを見つけ動きを止めざるを得なかった。
Aは、ショルダーバッグの中からもう一本のペットボトルを出しキャップを開けると自分の頭から半分ほど浴びると残りを部屋の隅に重なって恐怖の表情を浮かべている4人に向かって振りかけた。
「何のつもりだ・・俺たちが一体何をしたっていうんだ?」
「何をした?・・自分の胸に訊いてみろ・・」
4人は、数秒間、次の言葉が出なかったが
「悪かった・・もうやらないから許してくれ・・いえ・・許して下さい」
「ダメ・・今まで僕がいくら言っても許してくれなかったじゃないか!このカラオケ代もいつも通りに僕に払わせるつもりだったんだよね・・・でもカラオケボックスよりもっといい場所に連れて行ってあげるよ・・・どこだと思う?」
「・・・・・・・・・・」
「これから行くのはカラオケボックスじゃなくて棺桶ボックスだよ・・」
固まったままの4人の表情を見ながら
「何だよ・・せっかく僕が人生最後の最高のギャグを考えてやったのに笑ってくれないのかい?」
「・・・・・・・」
「笑えよ!」
「・・・・・・」
「笑え~!」
絶叫するAに促され4人は顔を強張らせながらもかすかに「ははは・・」という声を絞り出した。
その声がAに届いたかどうかのタイミングでAの右手の親指が動きパシュという音が響いた。
次の瞬間、部屋の中に炎が走った。いや炎が走ると言うよりは爆発だった。
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